悪玉コレステロールは日本にしかなかった?欧米の方が危険度高そうなのに?

不健康のイメージが強い“悪玉コレステロール”、日本よりも欧米のほうが深刻化していそう…と思いますよね。しかーし、そもそも欧米には日本でいわれている悪玉コレステロールの概念が存在しないのです。食事面や体型から見ても欧米のほうが危険度は高いはずなのに悪玉コレステロールの概念が無いという事はどういうことなのか?徹底的に調査してみました。


 

そもそも悪玉コレステロールとは何なのか?

 

「悪玉コレステロールが増えると体に悪い…」と言いますが、具体的にどのような悪影響が出るのか知っていますか?コレを知る前に、まずはコレステロールの役割について理解しておきましょう。

 

コレステロールの役割

悪玉コレステロールは日本にしかなかった?欧米の方が危険度高そうなのに?

 

コレステロールとは、ホルモン(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)や細胞膜、胆汁酸(消化液)などを生成する脂質の一種で、人間が生きていく上で欠かせない存在となっています。コレステロールは食べ物から摂取したり、肝臓で合成されながら一定量を得ることが出来ているのです。

 

画像引用元:http://meirusenju.jp/kunika/807/

 

「善玉」と「悪玉」の違いとは?

コレステロールには「善玉」と「悪玉」がありますが、実はコレステロール自体に善と悪があるのではなく、それぞれ役割によって言い方が異なるのです。

 

 

役 割 

悪玉コレステロール
 
別名:LDLコレステロール

コレステロールの運搬役

血流に乗って、体の隅々にコレステロールを運びます。

→しかし、運び過ぎてしまうと血管内壁にへばりついて、血流を悪くし、動脈硬化や様々な疾患を引き起こす原因に繋がることも…!!

善玉コレステロール
 
別名:HDLコレステロール

余分なコレステロールを運び出す役

体に悪影響を及ぼす量のコレステロールを細胞壁から運び出します。

→運び出されたコレステロールはホルモンや胆汁酸の材料となり、それでも不要な分は排泄されます。

 

つまり善玉も悪玉も必要不可欠な存在であり、バランスが取れている内は問題ありませんが、悪玉コレステロールが増え過ぎてしまうと…

 

・動脈硬化
・心筋梗塞
・狭心症
・脳梗塞

 

などのリスクを高めてしまうので、気を付けなければいけないのです。

 

 

 

日本の基準値は?

「健康保険組合」と「日本動脈硬化学会」の基準値

 

男女の区別なく、

LDLコレステロールは139mg/dl以下
HDLコレステロールは40mg/dl以上

であれば、問題なしとしています。

 

 

「日本人間ドック学会」の基準値

健康保険組合や日本動脈硬化学会よりも細かく設定しています。

 

総コレステロール値

基準範囲 :140mg/dl199mg/dl
要注意   200mg/dl
259mg/dl
異常   :260mg/dl以上

HDLコレステロール(善玉)

基準範囲 :40mg/dl119mg/dl
要注意  :30mg/dl
39mg/dl
異常   :120mg/dl以上

LDLコレステロール(悪玉)

基準範囲 :60mg/dl119mg/dl
要注意  :150mg/dl
399mg/dl
異常   :400mg/dl以上

 

ちなみに2014年4月には、コレステロール値の新基準値を発表しています。

 

男性⇒72mg/dl〜178mg/dl
女性(30〜44歳)⇒61mg/dl〜152mg/dl
女性(45〜64歳)⇒73mg/dl〜183mg/dl
女性(65〜80歳)⇒84mg/dl〜190mg/dl

特に女性は中高年になるとコレステロール値が上昇する傾向が見られるので、男性よりも細かく年齢別に設定されているのでしょう。

 

 

 

欧米の基準値は?

 

日本のコレステロール基準値は欧米に比べて厳し過ぎる!と言われています。
日本のコレステロール基準値140mg/dlに対し、欧米の基準値はどのくらいなのか見てみましょう。

 

 

 

アメリカと日本の基準値を比較

アメリカでのLDLコレステロールの基準値は…

生活習慣の改善目標値 ⇒ 160mg/dl
薬物治療開始ライン  ⇒ 190 mg/dl
159 mg/dl以下は生活習慣の見直しも不要!

 

これに対し、日本の特定健診での基準値は…

保健指導 ⇒ 120 mg/dl
受動推奨 ⇒ 140 mg/dl

日本がどれだけ厳しいのかが一目瞭然ですね。

 

 

基準値に差がある理由

食生活を見ても「欧米のほうが気を付けなければならないのでは?」と思う人は多いはずです。正直、俺もその中の1人ですから…。しかし、そもそも欧米には日本でいわれている「悪玉コレステロール」という概念は存在しないのです!

 

もともと欧米でも1990年代はコレステロール値を下げる為に、「卵を避ける」「バターの代わりにマーガリンを使う」などの食生活を推奨していました。

 

↓ しかし現在では…

 

 

卵の摂取量に制限はなくなり、マーガリンよりもバターのほうが薦められています(マーガリンのトランス脂肪酸のほうが問題視されている為)。

 

 

では何故、もともとコレステロール値を下げることを推奨していた欧米が今では緩い基準値となってしまったのかというと…
長年の調査によりLDLコレステロール値が高くても死亡率に変化はなく、むしろLDLコレステロール値が100 mg/dl(男性)/120 mg/dl(女性)になると死亡率が高まる事が分かったからなのです。LDLコレステロールは悪玉と言われていますが、体にとって必要不可欠なコレステロールを運搬するという大事な役割を担っているので、コレステロール値は高値よりも低値のほうが危険度は高いと考えられるようになったのです。


欧米が大丈夫なら日本も大丈夫なのでは?

実は、もともとコレステロールの基準値の数値に疑問視する専門家は少なくありませんでした。実際、日本よりも心筋梗塞の発症率が高い欧米のほうが基準値は緩かったのですから、当然と言えば当然ですよね。

 

厳し過ぎる基準値を設定していた日本ですが、2014年4月に日本人間ドック学会が見直し改正案を公表しました。これにより基準値は大幅に拡大し、女性は年齢別に設定されるようになったのです。さらに以前の数値は厳し過ぎたため、健康な人でも治療を受けることは珍しくありませんでしたが、今では安易な投薬治療はせず生活習慣の見直しから始めるなど、いろいろな変化が出てきています。


ちょっとした都市伝説

厳し過ぎる基準値の設定の裏には製薬会社が関係していた…なんて噂も。一昔前、メバロチンというコレステロールを下げる為の薬が発売されると同時に250 mg/dlだった基準値が220mg/dl に変更されました。これにより半分以上の中年世代が異常値と判断され、薬を処方されていたのです。あまりにも薬の発売開始と基準値の改正が同じ時期だった事もあり、製薬会社が裏で糸を引いていたと考えられてもおかしくはありませんね。信じるか信じないかはあなた次第です…。

まとめ:悪玉コレステロールは日本にしかなかった?欧米の方が危険度高そうなのに?

欧米ではコレステロールは高値よりも低値のほうが危険だと考えている。

 

LDLコレステロール値の健康基準は「60mg/dl〜119mg/dl」だが、性別や年齢によって異なるので、自分の正しい基準値を把握することが必要。

 

日本でも基準値を大幅に上げるなどの措置が取られている。

 

安易な投薬治療よりも生活習慣の見直しが重要視されている。